白堊の球児 卒業生情報

元営業マンの富士・綿引監督、脱サラで目指す甲子園

[2018年07月11日09時17分 日刊スポーツ紙面から]

公式戦初勝利した富士・綿引監督
<半端ない夏 富士・綿引良宏監督>

<高校野球東東京大会:富士9−3新宿>◇10日◇2回戦◇明大球場

 就任1年目の富士・綿引良宏監督(48)が「監督1勝」の夢をかなえた。茨城・日立一で1年生時に夏の甲子園に出場。早大へ進学し、1学年下の仁志敏久氏(46)らと一緒にプレー。その後は大手損保会社に就職し営業マンとして22年間勤務していた。

 しかし、息子の少年野球を見ているうちに野球熱が再燃した。「子どもが中学になり手がかからなくなったので」と「都立甲子園1勝」を目指し44歳での脱サラを決意した。

 中学校の教諭を3年勤め、今年4月念願の同校に着任。進学校のため、学業優先で退部する生徒も多かったが「3年間やることで目上の人との会話や生活は将来必ず役に立つ」と営業経験を選手に話し、続けるように説得した。学業に集中したい時は「休部してもいい」と保護者にも説明。部員増に奔走した。

 一喜一憂しないという武道の精神を大事にしている。試合中はほとんど表情を変えないが、試合後には「本当は夢がかなってうれしくてしょうがない」と少しだけ笑みを浮かべた。次戦は14日、紅葉川と対戦する。綿引監督は「1戦1戦コツコツと戦っていきます」。元営業マンは堅実に甲子園を目指す。

【松熊洋介】


Copyright(C) Laurel All rights reserved