白堊の球児2021
第103回全国高等学校野球選手権茨城大会
2021年7月18日 三回戦 vs 水戸一高









 
7月18日の高校野球 茨城
2021年7月19日04時00分
  第103回全国高校野球選手権茨城大会(県高校野球連盟、朝日新聞社主催)は18日、ノーブルホームスタジアム水戸など4球場で3回戦8試合があり、16強が出そろった。

 水戸一と日立一の伝統校対決は水戸一が4―2で制し、13年ぶりにベスト16入りを決めた。石岡一、水戸啓明はコールド勝ち。明秀日立は日立北に逆転勝ちした。

 19日の休養日をはさみ、20日は4球場で4回戦8試合がある。

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 六回裏2死一、三塁。日立一は4点を追っていた。小磯竜大(りゅうた)君(3年)は三塁上から監督を見つめた。

 重盗のサインだ。

 一塁走者がスタートを切る。捕手が二塁へ送球する瞬間、ホームに向かって走り出した。投手が送球をカットしないのを見て思った。「絶対セーフになる」

 捕手の股下をくぐり抜け、本塁に生還。適時打も出て、この回2点。まだいける。ベンチの雰囲気が変わった。

 相手はバッテリーを中心とした堅い守りで、春の県大会ベスト4の水戸一。一方、日立一は「連動する野球」が身上だ。

 この日も守備の隙をつき、チームで五つの盗塁を決めた。中山顕監督は試合後、バッテリーにプレッシャーを与え、崩すのがねらいだったと明かした。

 日立一のグラウンドは他部との共用で、平日は内野しか使えない。中山監督は「弱みを、強みにしよう」と言ってきた。練習場所の狭さを逆手に取り、盗塁やエンドランなど実践的な場面を想定した練習に時間を割いてきた。

 「(本盗は)ここぞ、というところでやる」。試合前、中山監督に言われていた。「これまでやってきたことを出せば大丈夫」。小磯君にも緊張はなかった。七回にも盗塁を決めた。

 日立一は七、九回に三塁まで走者を進めたが、適時打が出なかった。10残塁。「勝ちきれず、悔しい」と小磯君。でも、「プレッシャーのかかる場面で、自分たちの野球ができた」。目を赤く腫らした。

=ひたちなか市民(伊藤良渓)


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