野球食 Food for Baseball Players
本ページはベースボールマガジン社発行
海老久美子著「野球食」から抜粋した内容を掲載しています。
【7回裏1/5】  野球選手の太陽対策。錆びついちやったら野球はできない

■「カッセイサンソ」って知ってる?

 活性酸素と書く。

活性だし、酸素だし、いかにもパワーアップしてくれるもののように思えるかもしれないけど、これが大違い。

 人間は酸素がなくては生きていけないけど、実は吸った酸素のおよそ2%は殺菌、解毒といった目的のため、とても毒性の強い酸素になる。これが活性酸素。

 これがなければ私たちの体は、外部からの侵入物(ウイルスなど)に簡単に冒されてしまう。でも、これが大量発生すると自分の正常な組織、細胞までも傷つけてしまうのだ。酸素はいいものとは限らないわけだ。

 今、この活性酸素が過去に例をみない勢いで増加してきている。だから話題になっているのだ。その原因は、ダイオキシン、排ガス、紫外線、放射線、X線、竜磁波や、食品添加物、農薬、抗菌、抗生物質などの科学物質の増加、といった、地球の環境破壊と身近な生活環境の汚染らしい。

 さらに、ストレスや飲みすぎ食べすぎ、睡眠不足、激しい運動、日焼け…なんていう、野球選手とは切っても切れないような生活習慣も、実は活性酸素を増加させる要因なのだ。

 お父さんの年代だと、健康に対する敵といえばコレステロールが一番だったが、今注目は活性酸素。諸悪の根元のようなやっかいなものだ。

ストレスや飲みすぎ、睡眠不足が要因なんていうと、大人が気にするべきことのように感じるかもしれないけど、大人はあまり激しい運動や日焼けをしない。これをするのは選手なのだ。



【7回裏2/5】  野球選手の太陽対策。錆びついちやったら野球はできない

■活性酸素と野球選手

 だから「酸素とエネルギーをたくさん必要とし、炎天下で長時間練習することが多い野球選手」 は、一般の人よりも活性酸素を発生しやすい。さらに「外食が多く、夜更かし気味で、ストレスもためやすい」なんていう選手は、自分がかなり活性酸素の毒にさらされやすい状況にいることを自覚しよう。

 活性酸素の毒は、強い 「酸化」によるもの。化学で習ったかもしれないけど「酸化」とは、むいたりんごが茶色になったり、鉄棒が錆びついたりすることで目にしているものだ。むいたりんごはそれほど時間が経たないうちに茶色くなるけど、鉄は少しずつ気がつかないように錆びていく。ふだんから気をつけていなければ手遅れになりかねないのだ。

 体の細胞の錆びつき、つまり酸化は、細胞の老化を意味する。選手にとって、ケガや疲労からの回復が遅れることにもなるのだ。野球選手として元気に活躍するために、これほど邪魔になるものはない。

 しかも、細胞の老化は放っておけば確実に将来に繰り越される。今はまだ体力が上昇曲線を描いているからいいものの、自分の親の年代になった時に、一気にそのツケが回ってくる可能性もある。実感はまだわかないかもしれないけど、自分が親になった時、息子とキャッチボールをして 「ホントにお父さん、野球やってたの?」 なんていわれないためにも、野球選手だからこその 「活性酸素対策」 が急務なのだ。


■活性酸素に負けない作戦

 活性酸素の影響は、現在の環境下で生活する限り、完全に避けることはできない。野球をしていればなおさらだ。が、コールド勝ちは無理でも 「負けないための食べ方」 はある。親に協力してもらうのはもちろんだけど、選手それぞれが自覚を持って取り組む必要があるほど活性酸素は手ごわい。お弁当や家での食事のポイントは父母向けに書いておいたから、外食する時の責任は自分で持てるように、以下の作戦を頭にたたき込んでおこう。

●作戦その1「原因物質をなるべく取らない」
食べ物での原因物質の代表は、食品添加物、残留農薬、過酸化脂質など。これら目に見えない原因物質を取るのを、少しでも減らしたい。

例えば、野菜・果物は旬のものを食べること。自然に逆らわない時期に収穫された野菜は、化学肥料や農薬が少なくてすみ、育つのも早いのでこれらの影響を受けにくい。

 旬の野菜ってどれだろう。季節の野菜がすぐにわかる選手は、かなり食べ物に気を使っているとみた。わからない選手も丸暗記する必要はない。次のような方法がある。

 まず、都会の選手は、スーパーで特売されていたり100円で売っている野菜が、旬の野菜と思ってはぼ間違いない。自然に恵まれた環境の選手は、近所の畑を見ればすぐにわかる。今なっている野菜が旬のものだ。



【7回裏3/5】  野球選手の太陽対策。錆びついちやったら野球はできない

■活性酸素に負けない作戦

●作戦その2「スカペンジャーを味方につける」
 スカベンジャー。ゴレンジヤーではない。その敵でももちろんない。

この聞き慣れない言葉は、「抗酸化物質」という意味。活性酸素からの酸化を防いでくれる頼もしい味方なのだ。実は体にはもともとこうした抗酸化物質が存在していて、体を守ってくれている。でも、活性酸素が増加する今、特に野球選手は、これら「スカペンジャー」をより積極的に取り入れることが重要だ。

 ただ、このスカベンジャー、お店で 「スカベンジャー、ください」 といっても手に入らない。
いろいろな食べ物の中にこっそり含まれているのだ。大きくは3つに分類することができる。それぞれを覚えて毎日の食事の時、意識して食べるようにしよう。

@体内で合成できる酵素
 酵素の材料はタンパク質。良質なタンパク質を毎食に分けて食べることは、活性酸素に負けないためにも大切。また、酵素を作るためにはミネラルも必要。中でもセレン (セレニウム) というミネラルはスカベンジャー酵素との関係が深いことで注目されている。

Aビタミン
 ビタミンも、スカベンジャーだ。特に抗酸化ビタミンとしてはビタミンA、C、E、B2が要チェック。
これらビタミンをあわせ持った食材(*)を取ることも有効だ。

Bポリフェノール
 コマーシャルなどでよく耳にするポリフエノール類もスカベンジャー。
この成分の多くは、食品の色や渋み、苦みに多く存在する。特に皮や種、芯、葉など、今まで捨てられていたようなところにも多く含まれているから粗末にできない。



【7回裏4/5】  野球選手の太陽対策。錆びついちやったら野球はできない

■活性酸素に負けない作戦

●作戦その2「スカペンジャーを味方につける」
 スカベンジャー。ゴレンジヤーではない。その敵でももちろんない。

この聞き慣れない言葉は、「抗酸化物質」という意味。活性酸素からの酸化を防いでくれる頼もしい味方なのだ。実は体にはもともとこうした抗酸化物質が存在していて、体を守ってくれている。でも、活性酸素が増加する今、特に野球選手は、これら「スカペンジャー」をより積極的に取り入れることが重要だ。

 ただ、このスカベンジャー、お店で 「スカベンジャー、ください」 といっても手に入らない。
いろいろな食べ物の中にこっそり含まれているのだ。大きくは3つに分類することができる。それぞれを覚えて毎日の食事の時、意識して食べるようにしよう。

@体内で合成できる酵素
 酵素の材料はタンパク質。良質なタンパク質を毎食に分けて食べることは、活性酸素に負けないためにも大切。また、酵素を作るためにはミネラルも必要。中でもセレン (セレニウム) というミネラルはスカベンジャー酵素との関係が深いことで注目されている。

Aビタミン
 ビタミンも、スカベンジャーだ。特に抗酸化ビタミンとしてはビタミンA、C、E、B2が要チェック。
これらビタミンをあわせ持った食材(*)を取ることも有効だ。

Bポリフェノール
 コマーシャルなどでよく耳にするポリフエノール類もスカベンジャー。
この成分の多くは、食品の色や渋み、苦みに多く存在する。特に皮や種、芯、葉など、今まで捨てられていたようなところにも多く含まれているから粗末にできない。



【7回裏5/5】  野球選手の太陽対策。錆びついちやったら野球はできない

父母へ ■「活性酸素対策は家族みんなで」

 活性酸素の影響を受けるのは、当然のことながら選手だけではない。
お父さんやお母さんは、確かに激しい運動や強い日焼けとは無縁かもしれない。しかし、飲みすぎやタバコ、ストレスなどは選手以上に問題となることだろう。体の老化をもたらすという意味でも、親のほうがより実感を持ってその恐ろしさを認識できるはず。

活性酸素対策は、家族みんなに必要なのだ。いろいろある原因を、せめてまず食卓からだけでも取り除くには、親の努力が欠かせない。131ページに掲載した食品選びのチェックポイントを選手と一緒に確認して、少しでも食べ物から原因物質を取らないように気をつけよう。一見、面倒に思うかもしれないが、スーパーで鮮度をチェックする視点を活性酸素に向ければいいのだ。


指導者へ ■「野球を悪いものにしないために」

 激しい運動にプラスして、長時間直射日光にさらされることの多い野球は「体に悪いこと」なのだろうか?確かに、活性酸素の影響は否めない。が、なにも運動は酸素を取り入れるためだけにするものではない。

人間が人間としての骨格、筋肉、運動神経を養い、ストレスを解消するためにも必要不可欠であることに変わりはないのだ。楽しく、適度に長く続けられる運動を身につけることは、人間の健康を保つうえでとても大切なこと。

とかく運動不足になりがちな現在の子供たちが、野球と出会って生涯楽しめるスポーツを身につけることは、野球に関わるすべての人の願い。だからこそ、野球選手の∪∨と活性酸素対策は、子供の時代からしっかりと考える必要があるのだ。指導者白身の体のためにも。



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