野球食 Food for Baseball Players
本ページはベースボールマガジン社発行
海老久美子著「野球食」から抜粋した内容を掲載しています。
【9回表1/4】  便利だけど大丈夫?コンビ二の賢い活用法

■コンビニは今、選手御用達の店NO.1!

 その昔、選手がお昼を調達に行く店の主流は、学校のそばのおばちゃんがやってるようなパン屋やそば屋の店屋ものだった。それがスーパーマーケットになり、「ホカ弁」と呼ばれる弁当屋となり、今の主流はなんといってもコンビニエンスストアだろう。

 弁当屋のように時間待ちはないし、スーパーのように広い店内を探し回る必要もない。コンビニに行けば食べ物に限らず、ちょっと必要なものが一緒に買える。そのうえ最近は値段も安くなってきた…となれば、学校と練習に毎日忙しい選手たちの御用達の店になるのも無理はない。

 そんな便利なコンビニだからこそ、上手に使おう。自分の体によりよいものを選んで、効率のいいお小遣いの使い方をして、体作りに役立てたい。

すべてをコンビニに委ねるのは無理がある。だから賢く使う

 これまで書いてきたように、野球選手、特に成長期の選手は運動量の少ない一般の大人に比べると、たくさんのエネルギーとたくさんの栄養素を必要とする。だから、スポーツをしていない友人の1人前ではもちろん、大人の1人前でも足りない。そしてその不足分の補い方を間違えると栄養のバランスを崩してしまうのだ。

 例えば、コンビニで売っているお弁当ひとつでおなかいっぱいになる選手はいないと思う。
その他に何を買っているだろうか? ここがチェックポイント。

 同じお金を払うにも、いかに必要な栄養素をできるだけリーズナブルにしっかり取るかを考えてコンビニに向かってほしいのだ。

 いくらプライスダウンしてきたといっても、選手が必要な一食分を過不足なく揃えるとなるとかなり高価になる。

 例えばおにぎり。コンビニのおにぎりは1個約100g。これを選手に必要なごはんの基準量(500g)分買うと5つ必要になる。1個120円として600円。これにおかずに100%ジュースにヨーグルトと揃えると1000円前後。これを1カ月続けたら大変な出費になる。自分で稼いでいるならいいけど、親が一生懸命に働いて出してくれているお金だってことを忘れないように。

 季節にもよるけれど、例えば、おにぎりと100%ジュースは家から持参すれば、だいぶ出費も減るし、家で作ったおにぎりはもっと大きいから、5個も持ってくる必要はないし、ゴミも減る。家計にも環境にも優しい選択になるのだ。

 だから、コンビニは足りないものを便利に調達できる名脇役としてうまく使おう。



【9回表2/4】  便利だけど大丈夫?コンビ二の賢い活用法

■コンビニを名脇役にするコツ

 コンビニを使いこなすためのポイントは、「脂肪と砂糖の取りすぎを防ぎ、タンパク質、でんぶん、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維が含まれているものを選択する」 ことにある。具体的にアイテム別にみてみよう。

●お弁当頬
 多種多様な弁当が増えてきたが、選手にとってはごはんの量が少ないものがほとんど。
全体量の表示があるものはそれを見て、だいたいのごはんの量を計算して、なるべくごはんの量の多いものを。

 おかずは、衣の厚い揚げ物が多いのは×。同じ揚げ物でも唐揚げのような衣の薄いものを。肉の取りすぎも練習中ゲーム前にはすすめられない。洋風弁当よりは一般的に和風弁当のはうが、低脂肪で食物繊維やミネラル類が取り入れやすい。副菜に煮付けや酢の物など、いわゆるおふくろの味系のおかずが入っているとありがたい。

 マヨネーズたっぶりのポテトサラダやウインナーソーセージは脂肪の取けすぎになりやすい。丼ものならカツ丼、天丼はこれから練習のある時には脂肪が多すぎてすすめられない。親子丼や中華丼のはうがいい。寿司類は全般的に低脂肪なので○。

●おにぎり
 主食が不足の時に。1個100g前後。具はなるべくシンプルなものがべター。梅干しはクエン酸が取れるし、鮭はタンパク質が取れる。ツナもタンパク質は取れるが脂肪も高め。マヨネーズ和えはさらに脂肪が多くなる。のりは大切なミネラル源になる。
夏場に携帯する時は、たらこ、明太子などの生の具や混ぜごはんは避けよう。

●サラダ
 野菜が不足している時に。同じようなトレイに入っていても、店によって重さに差がある。マカロニやポテトなど、マヨネーズを使ったサラダは高脂肪。
トマト、ブロッコリー、かいわれ大根など、色の濃いしっかりした野菜の多いサラダがビタミン補給にはベストだろう。ドレッシングは和風や中華、フレンチのセパレートタイプがおすすめ。 野菜は時間が経つとビタミンが損失する。サラダはその製造時間や野菜の鮮度を確かめ、なるべく早く食べたほうがいい。

●スパゲティー
 主食が不足している時に。ソースで脂肪量が変わってくる。クリームソースやカレーソース、
ミートソースは高脂肪。和風やコンソメ仕立て、トマトソースは低脂肪。具に野菜やきのこがいっぱい入っているものを選ぼう。

●パン
 主食が不足している時に。見た目よりも高カロリーなのがこのグループ。サンドイッチ、菓子パンともに増量化が進んでいるので、これからますます高カロリーになるかもしれない。
サンドイッチは野菜が多く、シンプルなものを。
菓子パンもできるだけスタンダードなもののほうが脂肪の取りすぎを防げる。
間違っても菓子パンだけで昼食をすませようとは思わないこと。



【9回表3/4】  便利だけど大丈夫?コンビ二の賢い活用法

■コンビニを名脇役にするコツ

●麺類など
主食が不足している時に。練習前は中華麺より、うどんやそばのほうが消化が早くておすすめ。天ぷらやチャーシューも消化に時間がかかる。焼きそばやグラタン類も見た目以上に高脂肪なので練習前には少なめに。

●おかず
 おかずの少ない時には、このような単品のおかずを取り入れるのもいい。店により種類も数量にも差があるが、野菜を使った総菜や卵、きのこ、魚を使ったおかずや酢の物、豆腐はおすすめ。揚げ物は取りすぎに注意すること。

●スナック類
 中華まんは皮が低脂肪。冬の補食として利用するのもいいだろう。肉まんを補食に取るならスタンダードな大きさのもので十分。高級そうな大型になるとかなり高カロリーになり食事に響く恐れあり。フライドポテトは消化に時間がかかるので食べるなら少量に。

●汁物
 副菜が不足する時などに。最近は具だくさんなスープも増えているので、ここから野菜やきのこ、海藻を補給することができる。寒い冬に体を温め乾燥を防ぐのはもちろん、夏場、冷房で冷えがちな内臓を守り、消化を助ける太めにも有効。

●デザート
 ヨーグルト、フルーツゼリー、プリンのシンプルな小さめのものがおすすめ。ケーキやシュークリームは生クリームの脂肪が補食には適さない。食べても小さめのものを。こちらもパン同様、大型化が進んでいるようで、特にプリン、ヨーグルト、ゼリー、シュークリームは大型化が目立つ。

 今、高校生の昼食調達の主流になっているコンビニエンスストア。食事として利用するのであれば、カロリーだけではなく、他の栄養バランスが気になるところ。それぞれ、どんな栄養素が期待できるものなのかを考えて選ぶこと。

 また、デザートや菓子パンなどは、どうやら今までのカロリーブックにあるものよりも大型化が進んでいるようなので、食べすぎないように注意する必要がありそそうだ。

 野球で選球眠が必要なように、コンビこでも何が自分に合うものなのかをしっかり選ぶ目を養おう。



【9回表4/4】  便利だけど大丈夫?コンビ二の賢い活用法

父母へ ■「食品添加物について」

 コンビニに限らず、お店で買うお弁当や調理パン、お総菜、加工食品で話題になるのが食品添加物。

今の世の中、まったく食品添加物と無縁でいるというのは難しいし、食品添加物のすへてが悪いわけじやない。例えば酸化防止剤として使われるトコフェロールはビタミンEのことだし、アスコルピン酸はどタミンCだ。ただ、避けられるものはできるだけ避けたい。どんな添加物に注意を払うべきなのか?

 気になる代表はソルビン酸Kなどの保存料と、赤色○号なんていう表示の合成着色料であるタール系色素。それに調味料としてのリン酸塩、八ムなどの発色剤として使われる亜硝酸塩だろう。夏場は特に保存料の量が多くなるとか。目に見えないだけに意識したい。


指導者へ ■「コンビニの技術指導」

 私は仕事柄、日本全国かなりの奥地まで出張しているが、今やどこの町にもコンビニは存在しているように思う。

選手の社交場にもなっているコンビニ、もう無視はできないだろう。お菓子や弁当はもちろん、サフリメントや大人向けのドリンク剤まで手に入るのだから。指導者としても「選手との関係」という視点で店内をチェックし、チームとしてどういうスタンスでコンビニと接するか? どういう利用の仕方をするのか? については、なるべく具体的に選手に伝える必要があるだろう。

「ジュースにするのか? 牛乳にするのか?」「どのくらいの量まで食ペていいのか?」など、同じお金を使うにしても、野球選手としてのコンビニ利用法のテクニックを身につけさせてほしい。



野球食Top <<< 8回の裏 << 9回の表 >> 9回の裏 >>> InningBreak9

Copyright(C) Laurel All rights reserved